子どもの村東北とは
「子どもの村東北」は、SOS子どもの村JAPAN(福岡市)の支援を受けて2014年に開村しました。東日本大震災で被災し、家族と暮らせない子どもたちをはじめ、社会的養護を必要とする子どもたちを家庭環境で養育する、またはその危機にある子どもと家族を支援することが目的です。「村」では「SOS子どもの村インターナショナル」の理念を基本に、国連「子どもの権利条約」「子どもの代替養育に関するガイドライン」を尊重して、家族と一緒に暮らせない子どものために新しい家庭をつくり、育親(里親)が専門家チームのサポートを受けながら、地域と共に子どもたちを養育します。
家族
「普通の家族の家」であること
村では、育親と1~5人の子どもたちが一軒の家「家族の家」で独立して生活をします。家は大人数向けの構造ではなく子育てを重視した一般的な住宅で、家族が仲良く過ごせる温かい空間をテーマに設計されています。リビングダイニングを家の中心に、キッチンからは子どもたちの姿が見え、どこからでもお母さんの呼ぶ声が聞こえるような、親子がお互いに気配を感じることができる間取りです。子ども部屋は一人部屋に分割できるようになっているなど、家族としての生活状況に対応しやすい作りにもなっています。
安心
「家族」と「子ども」と「地域」の間を支える「村」の存在
村には村長とセンターハウススタッフ、ファミリーアシスタントが常駐。臨床心理士、小児科医などの専門家が定期的に訪れ、子どもたちや育親のケアに携わります。カウンセリングルームやミーティングルーム、実の親と子どもたちの交流や、宿泊ができる家族の部屋などを備え、子ども中心にその子にとって何が最善の支援かを考えながら育てています。
成長
大人になっても、いつでも帰れる「村」
村では互いに助け合って暮らし、子どもたちは地域社会の一員となっていきます。地域の人々に育てられた子どもは、自分の育った故郷への愛着と誇りを持てる大人へと成長していきます。子どもの村では、大人になっても故郷と呼べる居場所ができるように関係性を構築していきます。
SOS子どもの村JAPAN
2010年子どもの村福岡を開村。2016年にはSOS子どもの村インターナショナルに正式加盟を果たしました。①「子どもの村での子どもたちの養育」②「困難を抱える子どもとその家族のための支援」③「人材養成プログラムの開発と実践」④「子どもと家族の現状の発信」といった4つの活動に取り組んでいます。
SOS子どもの村のコンセプトは、4つの原則に基づいています。 ~愛着の絆、永続的な支え、子どもの権利を守るために~
マザー :実の親に代わって、育む親。
兄弟姉妹:兄弟、姉妹の絆のなかで育つ。
家:どの家族も自分の家を持つ。 何時でも安心して帰ることのできる家。
村:村は社会につながるドア。地域の一部として生活。 人々との出会い、未来を築く機会を得る。
家族と暮らせない子どもたち
親の病気や貧困、育児放棄、虐待など、様々な事情によって親のもとで暮らせない子どもたちが全国で約45,000人。その内86%が、施設(乳児院・児童養護施設等)で育てられています。これは家庭での養護を主流とする欧米諸国と大きな違いとなっており、国連からも改善の勧告が出されています。日本では家庭的な環境で育てられる子どもの権利が、まだまだ守られていない現状があります。
社会的養護
保護者のいない子どもや、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことを社会的養護といいます。かつては親がない、親に育てられない子どもへの施策でしたが、現在は、生みの親との交流のある子どもたちが93%(「社会的養護の現況に関する調査」2012年厚生労働省)を占め、虐待を受けて心に傷をもつ子どもや障害のある子ども、DV被害の母子への支援も増えるなど複雑化しています。
家庭養護について
社会的養護には大きく分けると「施設養護」と「家庭養護」があります。家庭養護は、里親やファミリーホーム、養子縁組里親など「親と子」的な家庭環境で子どもたちを養育する取り組みです。今後、国の方針で施設養護から家庭養護へ移行することが決まっています。
里親委託優先の原則について
2009年に国連総会で採択された「国連・子どもの代替養育に関するガイドライン」に呼応し、日本でも「家庭的養育推進」の政策が始まっています。2011年3月、厚生労働省は「里親委託ガイドライン」を作り、さらに、2017年に3月に一部改正して『里親委託の原則』を打ち出しました。 また、2017年8月に「新しい社会的養育ビジョン」が発表され、家庭養育原則を実現するため、未就学児は原則として施設への入所を停止すること。さらに、平成32年度までに里親への支援体制を確実に完了することなどを示しました。
応援
ロバート・キャンベル
( 国文学研究資料館 館長 )
「子どもの村東北」が開村して5年。いまだ子どもたちを取り巻く状況は深刻ですが、村のスタッフや育親の皆さん、そして地域に見守られたこの場所が子どもたちの安息の場になっていることを感じます。村で過ごす日々が心に平穏をもたらし、継続的に手を差し伸べてくれる大人に囲まれた安心できる時間と空間がある。いわばこの村は、緊急避難ができる“ハッチ”のような存在かもしれません。最近では“ケアする人のケア”への取組みも大切です。子どもたちを見守り続ける日々の中、育親の皆さんが息抜きをすることの大切さや親御さんが抱える問題の改善に目を向けることも大事でしょう。そして優しい社会になるために、どうしたら子どもと大人の距離が近付き、触れ合える空間が生まれるかにも想いを馳せていきたいです。
村からのメッセージ
誰もが生きていくことに真剣な村づくりを
須佐 尚康
( 子どもの村東北 理事長 )
この度、飯沼初代理事長のバトンを受け理事長に就任いたしました須佐尚康でございます。永年企業経営に携わってきた経験を活かしながら、社会的養護が必要な子どもたちのため、ありったけの努力を重ね、真剣に村づくりに取り組む覚悟です。
来し方を振り返るとき、先人は、何があってもその後の真剣な努力によって今日のような世界に誇れる国・地域社会を作ってきました。小生の子どものころの記憶をたどっても、地域社会の皆が毎日毎日を生きていくのに真剣に取り組む日々でした。子どもたちは、そのような大人の生きざまを見て、物事に取り組む時の真剣さが結果の善し悪しを決めることを習い覚えました。
現代社会においては、核家族化が進み、地域で子どもを育てるという事から閉鎖的な環境で育てられる子どもたちが多く、親も社会の中にありながらも、自分の居場所を探し、ストレスを抱えながら生きている時代となりました。そんな時代の中で、子育て支援を、また、家庭的な環境の中で子どもたちが育つ場をどう支援するのかは、村の活動目的でもあります。子どもたちの権利を尊重し、「信頼と理解」をベースに置いた暖かな眼差しを向け続けることはもちろんですが、同時に、村に係って頂ける皆さんの協力の元、「誰もが、思いやりをもって、生きていくことに真剣な村づくり」ができればと思っております。子育てで子どもたちに伝えなければならないことは、真剣に生きていこうとしている大人の姿勢や子ども一人ひとりの人権を尊重する対応以外にないのではと思うところです。
村も時代の要請に応えた柔軟な動きができるよう、力を付けて参りたいと思います。これまでご支援を頂きました皆さまの、深いご理解と期待を十分に受け止めながら、これからの活動も更にNPOの目的が達成できるよう勧めて参ります。皆様には、今後ともご支援ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
子どもの村東北の運営は、多くがご寄付でまかなわれています。どうぞ、少しでもみなさまのお気持ちをお寄せください。活動の報告は、ブログやニュースレターなどで行っていきます。
1.支援会員への入会 / 継続的な支援寄付により、運営を支えてください。
2.ご寄付 / お寄せいただいたご寄付は、子どもたちのために生かされます。
3.募金箱・支援自動販売機の設置 / 店頭など、設置いただける場所を探しております。
4.ボランティアへの参加/ 募金活動、村での草取り・日曜大工、事務作業など様々な内容の中から 可能な形でご参加いただけます。